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あなたの好きな服は? ①

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あなたの好きな服は? ①

今度は、着るものについて話しましょう。皆さんは自分の着るものについて、あれを着るとか着ないとか何かこだわりを持っていますか? 人にはそれぞれ、得意な、あるいは好きな衣装がありますね。僕にももちろんあります。

僕は実は、剣道着が一番好きなのです。下着をつけずに、袴だけを履くという感触が忘れられません。剣道着を身に着けると、身体がシャンとして、ただ前に進むだけという感覚が生まれます。僕は若いときに、デートに剣道着を着ていって笑われたことがあるくらいです。

それはさておき、今はもう“和”は全く身につけず、“洋”だけになっていますが、それはおそらく大概の日本人と同じでしょう。僕は剣道着だけは別にして、服装にはさほど関心がありません。着られれば何でもいいという感じです。僕の父親が服装に頓着せず、また僕の長男がそうなのです。もう40代の半ばですが、どう見ても浮浪児のような格好をして出歩くのです。まあ、昔は年老いた貧乏作家がそのような格好で歩いていましたが、さてどうしたものか、と時々考えざるを得なくなります。

長男の場合、服装に関しては好き嫌いがないように思います。注意すると、そうかなと言った表情で着替えてきます。今度は背広だからいいのですが、何と同じ背広を何週間も着ているため、ズボンのポケットなどはもうパンク状態です。それでも当人は平気の平左、とにかく色彩感覚の欠如が問題のようです。せっかくの色男が、と思うのですが、こればかりは手の打ちようがなく、今のところは親父の僕がひとりヤキモキしているところです。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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