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ラグビーと剣道 #1
ラグビーと剣道 #1 さて、もう少し楽しい話にしましょうか。どうもここ十年ばかりは、このような苦しい話ばかりで我ながら悔しく思っているのです。さて現在、ラグビーのワールドカップがフランスで行われています。ラグビーは僕の一番好きなスポーツなので、もちろんテレビに噛り付いています。 -
山本光伸作品集4『諾さん』刊行のお知らせ
山本光伸作品集4『諾さん』刊行のお知らせ さて、今回はどんな本を紹介しましょうか。皆さんのご意見を参考にできたらとも思います。自分が書き上げた書籍はどんなものだろうかと思い、今回初めて整理したわけですが、まず第一にびっくりしたのはその分量でした。よくぞここまでという思いがする一方で、僕はこの年になってようやく本当の仕事に巡り合えたのだという気もしています。どういう結果になるか、今から大変に楽しみです。 -
翻訳家になるには? #4
翻訳家になるには? #4 ただ、僕は一つだけ申し上げたいことがあります。それは、文藝翻訳家を目指す方は何としても、日本語の小説――それも、現在巷に溢れているような意味不明のブックスではなく――を浴びるほどに読んでもらいたいということです。僕が一番腹の立つのが、いわゆる英文科の生徒です。もちろんこれには例外がいくらでもあるでしょうが、とにかく、英語が好きだから翻訳をやってみたい、と言うおかしな連中です。僕には絶対に理解できませんね、巷に溢れる廉価本をチョコチョコ読んで、それでアタシも翻訳家になりたいなんて“ほざく”連中が。 -
翻訳家になるには? #3
翻訳家になるには? #3 しかしそんな僕が北海道へ来て、出版社を興し、文藝翻訳学校を始めて若い人々を指導しているのですから、これはもう奇跡としか呼べないではありませんか。僕は英語の書物を読んだことはほとんどありません。仕事でなら、それこそ何千冊と読んでいますが、自分が好きで読むものは日本語の小説と決まっているのです。つまり、太宰治、三島由紀夫、丸山健二らの作品です。彼らの作品はそれこそ繰り返し、繰り返し、滅多やたらと読んでいます。しかし、翻訳家になるにはどうしたらいいか? 僕は正直なところ、途方に暮れるしかありませんね。 -
翻訳家になるには? #2
翻訳家になるには? #2 一本立ちする寸前に『ゴッドファーザー』を翻訳し、ベストセラー物を数本持つほどの“売れっ子翻訳家”になりました。これはもう、まったく僕の力ではなく、他のさまざまの要因からそうなっただけなのです。例えば『ゴッドファーザー』などは、訳者の二十人ほどが事務所に集められ、誰かこれをやってくれと頼まれたのですが、誰も手を挙げません。それはそうでしょう、それまでの日本の翻訳界に於いて、マフィア物が売れたことは一度としてなかったのですから。これだったらサボれるな、と思って僕は手を挙げました -
翻訳家になるには? #1
翻訳家になるには? #1 さて、僕はよく文藝翻訳について質問されます。翻訳家になりたいけどどうすればいいか、とか。しかし僕はその度に少し緊張するのです。それは何故かと言うと、僕の文藝翻訳家デビューの経緯に問題があるからです。 -
太宰治を胸に秘めて #3
太宰治を胸に秘めて #3 小泊では、ちょうど運動会が行われていた。そこで太宰はたけと三十年ぶりに再会する。その名場面をちょっとここで、長いけれども書いてみよう。 -
太宰治を胸に秘めて #2
太宰治を胸に秘めて #2 『人間失格』や『斜陽』によって有名になったかに思われる太宰にとっては、しかし、それもまた彼自身が時代に刻んだ己の姿なのだと思われるのだ。あー、僕は彼に会うことはできなかった。僕は大学が三鷹だけに、彼が自殺した用水路の辺りをしょっちゅう歩いていたものだ。その度に、僕は「太宰さん」と呼びかける。彼が飛び込んだと思われる地点に何時間も佇んでいる。 -
太宰治を胸に秘めて #1
太宰治を胸に秘めて #1 何度も書いているが、僕が一番好きな作家は太宰治である。読み始めてから70年ばかりが経っているので、単なる“昔馴染み”なのかもしれないが、それでも彼の作品は全て、何度となく読み終え、彼について書かれたさまざまな評論や思い出などにもほとんど目を通してきただけに、この思いには確信に似た想いがある。 -
ダンスパーティー AFS アメリカ留学の思い出 #2
ダンスパーティー AFS アメリカ留学の思い出 #2 十代の若者は世界のどこでも、誰かに自分の意思を伝えたいと必死になっているものだろう。まあ、もちろん例外もあるだろうが、それはこの際、お引き取りを願うとしよう。そうしなければ話は前に進まない。