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翻訳家になるには? #1

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翻訳家になるには? #1

 さて、僕はよく文藝翻訳について質問されます。翻訳家になりたいけどどうすればいいか、とか。しかし僕はその度に少し緊張するのです。それは何故かと言うと、僕の文藝翻訳家デビューの経緯に問題があるからです。

 何度も言うようですが、大学時代の僕は、読書と剣道、並びに空手に忙殺されていたわけで、翻訳など夢のまた夢の存在だったわけです。家に何ヶ月も籠って仕事をするなど馬鹿げているとしか思えない。しかも僕には卒業する気がないのです。仲間が次々に卒業していくのを見るにつけ、寂しくは思うものの、僕は体育の単位だけを落として、八年間頑張り続けました。途中で大学を辞めて半年ブラブラしていたわけですから、正確には8年半になります。それで同じ大学を受験して受かったからよかったものの、今考えれば、本当にアホみたいな話ですね。

 とにかくそんなわけで、僕には最初から普通の就職をする気はまったくありませんでした。だったら何をして生きてゆくのか? 僕にはそれをはっきりさせようと言う意志もなく、ひたすら運動に、つまり空手と剣道に打ち込んでいたのです。

 しかし友人から見れば、そんな僕は頼りなくて仕方がない。それで友人の一人が、僕を翻訳家として一本立ちできる道へと紹介してくれたのです。変な言い方をして申し訳ない、つまり僕は、ある方の下訳者になった訳です。それから二、三年後に一本立ちしたわけですが、その間の僕の翻訳に対する態度ときたら、話にもならないようなものでした。

 締切りの約束を守らない、仕事を断る、等々。こちらとしては、翻訳業なんか真面目にやってられるかという思いだったので、どうにも仕方がありません。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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