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ダンスパーティー AFS アメリカ留学の思い出 #1
ダンスパーティー AFS アメリカ留学の思い出 #1 アメリカの高校で体験したことの一つに、女性が誘うダンスパーティがあった。この件に触れるのは六十年以上が経った今が初めてなのだからびっくりする。その時はこちらもちゃんと誘われたので文句もなく、忘れてしまっていたのだ。 -
鎌倉学園と剣道 #2
鎌倉学園と剣道 #2 僕はどういうわけか喜んだものの、そんなはずじゃなかったと文句を言う奴も多かった。たぶん高校側としては、当時鎌倉では有名だった“不良学校”のイメージを叩き壊そうとしたのだろう。またこの先生ほどその役職にピッタリの方は居なかったのではないだろうか。とにかく剣道がめちゃくちゃなのだ。めちゃくちゃと言っても、出鱈目というわけではなく、僕たちの常識では測り切れないほどめちゃくちゃだった。 -
鎌倉学園と剣道 #1
鎌倉学園と剣道 #1 ちょっと話題を変えて、中学時代の話を。神奈川県の逗子に実家があり、僕は53歳までそこで暮らしていたのだ。中学・高校と鎌倉学園に通った。高校三年の夏にアメリカへ一年間留学したので、丸六年間鎌倉学園にいたわけではないが、僕の中では、学園を卒業したと思っている。後輩には桑田佳祐がいて、誰もが、彼と同じ学校だぜと自慢するものらしい。 -
宗教と僕 #3
宗教と僕 #3 新興宗教に関して思うことだが、日本人はだいたい、信者と無関心派の二種類に大別されるようだ。僕はしかし、その宗教に関心を持ちながらも、無信者でいる人が必要なのではないかと思うのだ。 -
宗教と僕 #2
宗教と僕 #2 一週間ほどして、彼らは全く変わらないことを口にした。この世が彼らの教えで満たされるのは間違いない。あなたは何を疑っているのか。入信すればそれが真実であることがわかる、云々。そうすると僕が返す。そんなに確実に、まるで夜が明けて朝が来るようにそんな世が来るのなら、何故入信にそんなに拘るのか、そこがあなた方の信仰の一番油断のならないところだ、云々。 -
宗教と僕 #1
宗教と僕 #1 大学生で、三鷹に下宿していた頃の話だ。僕は吉祥寺生まれで、六つの時に逗子へ移っている。したがって当時はまだ知人が三鷹や吉祥寺周辺にはいたのだ。その内の一軒で下宿していた頃の話である。 -
翻訳裏話ーーロバート・ラドラムの思い出 #3
翻訳裏話ーーロバート・ラドラムの思い出 #3 それからは大変だった。僕が空手をやっていることを伝えると、自分は陸軍で格闘術を教えていたと言い、二人でいろいろと実践する破目になったのだ。天麩羅屋の店内でのことだから、互いに手を抜くところは抜いたのだろうが、背がだいたい同じくらいの我々二人がまるで喧嘩しているような大騒ぎになった。 -
翻訳裏話ーーロバート・ラドラムの思い出 #2
翻訳裏話ーーロバート・ラドラムの思い出 #2 さて当日、こちらは新潮社の女性編集員と、著作権事務所タトル・エージェンシーの代表、そして僕の三人はラドラム夫妻を出迎えた。ミセス・ラドラムは女優をしていらしたとかで美しい女性だった。そして肝心のラドラム氏は……それがなんとも冴えない人なのである。青のワイシャツ姿にズボン、どこから見てもそこいらの野暮親父と同じなのだ。こちらがテレビなどで見た颯爽たる中年男性はどこに行ってしまったのか? -
翻訳裏話ーーロバート・ラドラムの思い出 #1
翻訳裏話ーーロバート・ラドラムの思い出 #1 今回はひとつ、何十年も前にロバート・ラドラム氏とお会いした時の話を書いてみたい。 もう三十年以上も前の話しだし、かなりうろ覚えのところもあるが、我が翻訳家人生では実に楽しい思い出になっている。 -
僕のヒーロー長嶋茂雄 #2
僕のヒーロー長嶋茂雄 #2 そんなことがあってしばらくしてから、僕はオークラ・ホテルの会合に呼び出され、夜中の十一時頃に、地下の駐車場に向かって歩いていた。人は誰もいない。無機質な蛍光灯が点っているだけで、地下の細長い通路が五十メートルほど続いている。と、行く手のドアがサッと開き、イガグリ頭の中年の男が入って来た。薄いブルーのスーツだった。似合っているなと思った。