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偏食のある人は公平か? ②

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偏食のある人は公平か? ②

 てな具合で、他にも嫌いなものは沢山あります。たとえばタチです。あのぐにゃぐにゃしたものを見ると、ヘドが出そうになります。さらに言えば、魚類も好きではありません。とにかく食べる際に口の中で小骨を抜き取る作業が嫌なのです。とは言え、刺身や寿司は大好きでよく食べますし、天麩羅も超大好きです。つまりは、魚の小骨をどうするかが大問題なわけです。

 後は牛タンですね。僕は一度食べただけですが、肉の真ん中にある筋のようなもの、あれがどうしても舌を思い出して嫌なのです。後は、鶏が全く駄目です。生まれてからほとんど食べたことがなく、これは弟も同じなので安心しています。子供の頃に庭先で、祖母が生きた鶏の首を切り落とし、羽根を毟っているのを見たからだと思うのですがいかがでしょう。

 最近ちょくちょく、社員と一緒に“できたて屋”へ出かけます。魚料理がメインの店です。僕はカキフライを食べ、他のみんなは魚料理を頼みます。見ていると、実に皆うまいんですね。口の中で小骨を取るのもきわめてスムーズですし、魚の皮も皿の上で不様に醜態をさらしてはいません。そして美味しそうに食べるのです。

 僕は少し考えを改めつつあります。入院中は、出された鶏肉でもきちんと食べたではないか。鶏肉しかないのですから、食べないなんてことは考えられません。つまり、食べ物に好き嫌いがあるなんて、贅沢なことなんだなと思うのです。しかし逆を言えば、必要なときには出されたものを喜んで食べる気さえあれば、少しの偏食くらいは赦されるのではないか、とも思えます。

 皆さんはどう思われますか? 偏食のある人間は、食べ物だけでなく、人間の”偏食”もあるように思います。あの人は好きだけど、こっちの人は嫌いだ、とか。やはり公平な人間が目指すべきは、偏食のない世界なのでしょうね。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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