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僕のヒーロー長嶋茂雄 #1

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僕のヒーロー長嶋茂雄 #1

 今回は話題を変えて、野球の長嶋茂雄選手の話をしましょうか。僕にはーー個人的には知らないもののーーいろいろと素敵な有名人がいるなかでも、この長嶋さんだけは別格なのだ。年齢も彼が少し上で、似通っている。彼が大学時代に神宮球場で活躍していたころからの大ファンだった。

 僕は当時大学生で東京に住んでおり、友人から紹介されてある所で家庭教師をやっていた。とにかく大きな家で、親父さんは確か不動産屋ではなかったかと思う。生意気な馬鹿息子で、鼻息だけは荒く、僕とは正反対(!)のタイプだったように思う。こちらは空手をやっている時で、その息子を思い切り引っ叩いたいこともある。

 こちらはいつでも辞めてやるというつもりでやっていたのだが、あるとき、「明日、長嶋が来るんだぜ」とその馬鹿息子が言ったのだ。僕は「誰だい、その長なんてかって人は?」と言いながら、胸がドキドキしはじめていた。やはり長嶋茂雄氏だったのだ!

 僕は平静を装いながら、内心は高鳴っていた。僕にとって、長嶋は唯一のヒーローだったのだ。野球とはつまり、巨人が勝つことではなくて、長嶋が果たして打つかどうかなのだ。新聞で前日の試合の経過を読み、巨人の全安打数が四本で、しかも長嶋だけが打っていた、つまり四打数四安打だったと知るや、僕は躍り上がって喜ぶのだ。

 長嶋が野球を辞めて以降、僕は全く野球を見ていない。と言うか、今は大谷翔平選手ただ一人なのである! 長嶋と大谷に共通しているものは、何かと言えば、それは豊かな人間性なのである。僕は結局、人間を見るときには、彼または彼女の“人間性”を見たいと懸命になるのである。

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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