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『トップガン』翻訳裏話 ② ――名作について考える

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『トップガン』翻訳裏話 ② ――名作について考える

 翻訳家にとって、自分の関係した作品がみなに取り上げられるのは嬉しいことです。そう言うと、売れない学術書を翻訳される学究肌の先生方には申し訳なく思うのですが、何とも致し方ありませんね。

 しかしながら、僕はこの「トップガン」第二弾を見たいとは思いません。名作は一作でいいのです。まあ、たとえば「ゴッドファーザー」のように三部作で成功した例もありましたが、あれはやはり特例でしょう。「トップガン」第二弾の空中戦は凄いぜ、という話もよく聞きます。しかしそれは空中戦の話であって、「トップガン」の映画とは関係ないように思うのですがいかがでしょう。

 先日、僕は「十二人の怒れる男」のリメイク演劇を見に行きました。あのオリジナル映画は本当に素晴らしかったと思います。演劇でも役者は懸命に真面目に演じており、劇場の場面設定も見事なものでした。しかし、しかし、あれをオリジナルと比べたら、そう思っただけで僕は冷や汗が出てくるのです。  

 それに、日本映画の「遥かなる山の呼び声」のリメイク版の続編がテレビで見られますね。僕もたぶん見るだろうと思います。だけど心の中は忸怩たる思いでいっぱいです。「遥かなる山の呼び声」は、昔の映画「シェーン」のリメイクですが、僕にとっては、名作中の名作なんです。

 名作と思う作品がリメイクでいいものかどうか。僕は両方見ていますのではっきり言いましょう。「シェーン」は原作が素晴らしく、「遥かなる……」は映画が飛び抜けていた、と。そう言って、今回は筆を置きましょう。何だか自信がなくなってきたので!

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山本光伸プロフィール

 札幌で出版社・柏艪舎と文芸翻訳家養成校・インターカレッジ札幌を経営しています。
 80歳で小説家デビューを機にブログをはじめました。
 ロバート・ラドラム『暗殺者』、アルフレッド・ランシング『エンデュアランス号漂流』(新潮社)、ボブ・グリーン『デューティ』(光文社)他、訳書は200冊以上。

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